ありがとうのその前に
『じゃあ…お前は?』
廊下はもう誰もいないのか静まり返っている
グランドからは部活をしてる生徒の声が聞こえる
そのせいで何を言ったのか聞きとれなかった
『え?なに?聞こえなかっ…』
言い終わる前にあたしは修平の腕の中にいた
『しゅう…へ…なに…』
なに?なんで抱きしめられてるの?
『さっき大丈夫って言ったよな?俺の良さわかってくれてるから自信持てって。俺は琴音が好きだ』
すき?修平が?あたしを?
まさか!冗談言って驚かせて笑う気だな♪
『なに言ってんの?からかってんの?もう修平ってば!』
笑顔で顔をあげると真剣な修平の顔
初めて見る修平の『男』の顔
急に怖くなった
『翔吾が好きなのか?』
『違うよ…それより離して?』
『はぐらかすなよ!俺はずっと好きだった!なのに今更ほかの奴に渡せない』
痛い…力が強いよ…
怖い怖い怖い
気付いたら涙が流れてた
『お願い離して…お願い』
『いやだ!俺じゃダメなのか?』