ありがとうのその前に


怖いよ

翔吾…助けて



その瞬間、腕の力が弱まった


ホッとした


でもなにか唇に触れている



修平の唇があたしの唇に触れていた


触れるだけのキス



『いや!やめ…んッ』


2度目は強引で力ずくなキス…



翔吾…助けて…




バァン!


『琴…?!修平!お前何してんだ!』


翔吾…



涙が止まらない



『ふざけんな修平!』


『翔吾…俺…』


そのとき修平がボソッと呟いて去っていった


『琴音ごめん…』と。




あたしはまだ信じられなかった…怒りじゃない…悔しかった
修平と何年も一緒にいたのに気付いてあげられなかった

傷つけた…



心ではそう思ってる…


でも


恐怖で涙が止まらない

修平が初めて男に見えた


『琴音…大丈夫か?』


翔吾の手が肩に触る


さっきの恐怖で体が反応して拒否した



怖かった


翔吾は優しく…とても優しく抱きしめてくれた…

そして頭をなでてくれた



不思議と恐怖感がなくなったんだ…


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