ありがとうのその前に
涙味のキス
そのままあたし達はヒロを迎えに行った
『ヒロ…』
『琴ちゃん♪…どうしたの?泣いてるの?』
ヒロは昔からあたしの変化に敏感なんだよね
『大丈夫だよ♪帰ろっか』
『琴音ちゃんおかえりなさい』
『真由美先生』
『涙のあと…どうかしたの?』
真由美先生の細い指が瞼に触った
『ちょっと…いろいろあって』
『そう…なにかあったら相談のるからなんでも言ってね?』
真由美先生は優しく穏やかに微笑む
『はい…ありがとうございます』
真由美先生はお姉ちゃんみたいだ
『翔吾くん、今日は琴音ちゃん送ってあげて』
『わかった』
そのまま幼稚園をあとにした
あれ?なんか違和感が…なんだろう…?
『琴音』
『ん?』
『これからはずっと俺が守ってやるから』
翔吾の手があたしの手を優しく握ってくれた
あたたかい…
『もう絶対泣かせないから…だから…』
うそ…
『俺と付き合ってください』
あたしの頬を涙が流れた
『翔…吾…あたしで…いいの?』
『琴音がいい…』
そのままそっと抱き合った
どきどきどき
お互いの鼓動が重なってる
『あ~あ…泣かさないって言ったのにもう泣かせちゃったな』
『これは嬉し涙だからいいの…』
4度目のキスは気持ちが通じ合った温かい涙の味のキス