ありがとうのその前に

ヒロの元気は戻らないまま、あたしたちは水族館に戻った



予定では今からイルカショーに行く


『ヒロ!イルカさん見に行こうね!』


『うん…』



翔吾も心配そうにヒロを見つめていた



あたしたちは真ん中らへんの席に座った


土曜日だから満席冗談だ



『みなさ~ん♪こんにちは!今からイルカくんたちのショーが始まりますよ~』


お姉さんの元気な声からショーが始まった



周りの小さい子たちは大盛り上がりだ!


ヒロを除いて…



『さ~て!ここでみんなの中からイルカくんにボールをパスしてほしいんだけどしてみたい人~?!』



そのときだった




『はぁぁぁいッ!!!!』



馬鹿でかい声が場内に響きわたった




翔吾だ




『そこの茶髪のお兄さん!元気いいねぇ♪じゃお兄さんこっちに来てください♪』



翔吾の方がはしゃいでんじゃん!



そう思っていると翔吾はヒロの手をとった


『ヒロ!一緒にやるぞ』



え?



『いいの?』



ヒロの目がどんどん輝いていく


イルカが見事にボールをキャッチした時、ヒロは元の元気なヒロに戻っていた




翔吾…まさかヒロのために?



ぷッ翔吾ってば顔が真っ赤



恥ずかしいのにヒロのために大きな声出してみんなの注目あびて…



かっこいいよ



きっと保育士は翔吾の天職だね


< 33 / 219 >

この作品をシェア

pagetop