ありがとうのその前に
ヒロの元気は戻らないまま、あたしたちは水族館に戻った
予定では今からイルカショーに行く
『ヒロ!イルカさん見に行こうね!』
『うん…』
翔吾も心配そうにヒロを見つめていた
あたしたちは真ん中らへんの席に座った
土曜日だから満席冗談だ
『みなさ~ん♪こんにちは!今からイルカくんたちのショーが始まりますよ~』
お姉さんの元気な声からショーが始まった
周りの小さい子たちは大盛り上がりだ!
ヒロを除いて…
『さ~て!ここでみんなの中からイルカくんにボールをパスしてほしいんだけどしてみたい人~?!』
そのときだった
『はぁぁぁいッ!!!!』
馬鹿でかい声が場内に響きわたった
翔吾だ
『そこの茶髪のお兄さん!元気いいねぇ♪じゃお兄さんこっちに来てください♪』
翔吾の方がはしゃいでんじゃん!
そう思っていると翔吾はヒロの手をとった
『ヒロ!一緒にやるぞ』
え?
『いいの?』
ヒロの目がどんどん輝いていく
イルカが見事にボールをキャッチした時、ヒロは元の元気なヒロに戻っていた
翔吾…まさかヒロのために?
ぷッ翔吾ってば顔が真っ赤
恥ずかしいのにヒロのために大きな声出してみんなの注目あびて…
かっこいいよ
きっと保育士は翔吾の天職だね