ありがとうのその前に
『琴音?』


『うわッ!!あ…おかえり?』

『…なに言ってんの?』


翔吾が急に声かけるからパニックになりすぎて変なこと言っちゃったじゃん!


『いえ…少しどこかに行っておりまして』


『ほ~。それはそれはおかえりなさいませ』


『はい…ただいま』


なんだこのやり取り!!



『お茶いれようか!』

『うん。ミルクティー』


へいへい。





机の上にはアツアツの紅茶が2つ


『そういえば』

『ん?』

『琴音の両親は?』


ついにこの時がきた…


『お父さんは3年前に事故で。お母さんは医者やってる』


『そっか…』


静かな部屋に無言の空気が流れる


なんだか耐え切れない!


『しっ翔吾はスゴイよね!』

『え?』

『ほらッ夢持ってるし頑張ってるし…あたしとは大違い!親が放任なのは同じなのにさッ』



やばい!夢の話を自分から出しちゃった…



『琴音は夢ないのか?』






キラワレル
キラワレタクナイ





『夢…は…』





キラワレタクナイ


あたしの目からポロポロと涙がこぼれた



『琴音?』


『ひっく…あっ…あたし…しょうご…に好きに…なっ…てもらう資格…ないの』



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