ありがとうのその前に


話している間中ずっと翔吾は優しく頭を撫でてくれていたね


人ってこんなに暖かいんだ



『琴音は夢ってくだらないって思う?』


あたしは首を横に振った


くだらなくなんかないよ


だって夢を持って頑張ってる翔吾を見て凄いなって思ったんだもん


『ほんとは…翔吾が羨ましかった…夢をしっかり持っててかっこいいなって…』



変だよね?同じように親に寂しい想いさせられてたのに


あたしは他の人に辛い想いさせたくないから夢はいらない



翔吾は他の人に辛い想いさせないために保育士になるって夢をシッカリ持ってる

みんなを幸せにしようとしてるんだよね



あたしは逃げてただけだったのかもしれないな



自分を守る言い訳にしてたのかもね




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