ありがとうのその前に
『やばい!ヒロ迎えに行かなきゃ!』


結衣と修平に別れを告げて急いで学校を出た


夕方とはいえ少し走るとすぐに汗ばんでしまう



ちょうど公園の前を通った時だった


ドンッ!!!!



『痛ッ…あぁ~!!』


ぶつかった衝撃でカバンの中身が飛び出してしまっていた



『すみません!!』


声の主は、同じ高校の制服の男の子だった


『あたしこそ急いでて…』



男の子の顔を見て驚いた…というより見惚れた


髪は明るい茶色
薄くグレーのかかった瞳
背は高く細身でスラッとした体
なのに半袖から覗いている腕は筋肉がシッカリついている






かっこいい…




あたしが久しぶりのトキメキに浸っていると


『ねぇ』



話かけられた!まさか彼もあたしのことを…!!


『もうちょっと勉強したら?』




……は?




彼の手に持っている物を見ると、そこにはあたしの英語のテストが!





うっそ~ん



呆然としているあたしを無視して、カバンの中身を片付けて彼は去って行った。






なんなんだ…あの男は?!
ムカつく~!!


『はッ!ヒロのこと忘れてた!』


今にも発狂しそうになる怒りを押さえながら幼稚園に向かった
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