ありがとうのその前に

『俺も昔は琴音と同じ考えだったよ』



翔吾も?夢をいらないという時期があったの?



『でもある人に出会って、うじうじ言ってるだけじゃダメだって思った。俺と同じ思いしてる子を助けようって!』



それから翔吾はいろいろ話してくれたよね



同じ思いをしてる子を助けるにはどうしたらいいか悩んだこと

幼稚園の時に先生に毎日笑顔を貰っていたこと


そのときだけは寂しくなかったこと



だから保育士になろうとしたこと



『俺ほんとにその人に感謝してる。今の俺があるのはその人のおかげだから!』



今までで見た翔吾の笑顔のなかで一番輝いていた




『だからさ琴音の気持ちわかるよ。でもさ、誰かが辛い思いするかも…じゃなくて誰かを幸せにしよう!の方が琴音も幸せじゃない?』



未来のことなんてわからないんだから怖がるのは賢い生き方じゃない



考えたことなかったな


翔吾に出会ってなかったらあたしはずっと逃げていただけだったのかもしれない

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