ありがとうのその前に


無言のまま家に帰った



修平は泊まらないので自分の家に帰っていった。心配そうにあたしの頭をポンと撫でて


結衣は傍にいてくれた。


『琴音…きっとなにか理由があるんだよ』


『うん…でもね知らない人みたいだった…』


あたしの頬を涙が流れた


『琴音…』


『当たり前なんだよね!あたしが知ってるのは、ほんの2ヶ月くらい前の翔吾で真由美先生が知ってる翔吾は中学生からずっとなんだもんね…』



笑おうとしてるのに笑えない…結衣がそっと抱きしめてくれた

『翔吾くんの彼女は琴音なんだよ?今一番近くにいるのは琴音なんだから!』


結衣の声が振るえている。泣いてるの?あたしのために泣いてくれてるの?


『明日聞いてみよ?』


あたしは首を横に振った


『恐いの…聞いたら翔吾がいなくなりそうで…もしあたしより真由美先生が好きだったら…』


『このまま知らないフリするの?』


『まだ…翔吾を失いたくない…それに翔吾のこと信じたい…』




あたしは最低かもしれない…翔吾から別れを告げられるのが恐くて知らないフリをしていくなんて


でも失いたくない


信じたいと思った


太陽を失ったらあたしはまた暗い穴の中に落ちてしまう



『翔吾のこと好きなんだもん…翔吾を信じる。』


『そっか…』


結衣はそれ以上なにも言わなかった


でも応援してくれてるのはわかってたんだ


結衣大好きだよ。

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