ありがとうのその前に
不安と嘘


少し翔吾に会うのが気まずい。でも会いたくないときに限って会ってしまうわけで…


『おはよっす琴音!』


『おっおはよ!』


下駄箱で突然声をかけられたあたしの声は裏返ってしまった



『ぷッなんだよ変な声!』


あ…いつもの翔吾だ。あたしの知っている翔吾


変わらない笑顔を見て少しホッとした


『うるさいなぁ!急に声かけないでくれますぅ?』


『ひでぇ~!てか昨日楽しかった?』


昨日…



真由美先生と翔吾の姿が頭にちらつく


『…うん!すごい盛り上がった!』



そして、あたしはしてはいけないことをしてしまった。


『翔吾は昨日用事って何だったの?』



ほんとは知っているのにカマかけてしまった。



きっと何か幼稚園のことで会っていたのかもしれない。


そんな淡い期待をしていたからなのかな?



『あぁ昨日はクラスの友達と遊んでたんだ!わいわいカラオケ♪』



< 53 / 219 >

この作品をシェア

pagetop