ありがとうのその前に
不安と嘘
少し翔吾に会うのが気まずい。でも会いたくないときに限って会ってしまうわけで…
『おはよっす琴音!』
『おっおはよ!』
下駄箱で突然声をかけられたあたしの声は裏返ってしまった
『ぷッなんだよ変な声!』
あ…いつもの翔吾だ。あたしの知っている翔吾
変わらない笑顔を見て少しホッとした
『うるさいなぁ!急に声かけないでくれますぅ?』
『ひでぇ~!てか昨日楽しかった?』
昨日…
真由美先生と翔吾の姿が頭にちらつく
『…うん!すごい盛り上がった!』
そして、あたしはしてはいけないことをしてしまった。
『翔吾は昨日用事って何だったの?』
ほんとは知っているのにカマかけてしまった。
きっと何か幼稚園のことで会っていたのかもしれない。
そんな淡い期待をしていたからなのかな?
『あぁ昨日はクラスの友達と遊んでたんだ!わいわいカラオケ♪』