ありがとうのその前に



『結果が出ました!優勝者は…』



もう優勝はないと分かっていてもドキドキはするもんで…



早く言ってくれ~



誰が翔吾とデートするんだろ…高橋真美だけは避けたい…



ちらっと高橋真美を見るとカナリ自信ありげな顔




やばい!頼むから浮気だけはしないでよ~翔吾!



そう思った時、体育館のライトが一斉にあたしを照らした




『山崎琴音さんです!』




へ??




聞き間違い?






『なんと半数以上を山崎さんが独占というブッチギリ優勝になっています!』





優勝?あたしが?!



『なんで?!』




ついつい声が出てしまった



翔吾は満足そうな顔。高橋真美は悔しそうな顔であたしを見ている



『では、優勝した山崎琴音さんの写真を舞台に上げたいと思います!』



予選とは違う大きなパネル写真になって舞台まで運ばれてきた



その写真を見てあたしはア然とした



パネルにはガチガチの顔のあたしなんて写っていない




写っているのはヒロの頭を撫でているあたし。リラックスしきっているあたしだった…しかもすごく安らかに微笑んいた




『これがあたし…?』





当たり前なんだけどそう言ってしまうくらい別人みたいだったんだもん。




そして同時に、この瞬間のこの顔を撮れるのは翔吾しかいないって思った




翔吾だから…あたしを1番かわいいと思ってくれてる翔吾だから撮れた写真なんだって…そう写真から伝わってきた





涙が出そうになった



< 89 / 219 >

この作品をシェア

pagetop