Lost voice Ⅱ‐キミ ノ オト‐
ギャハハハハッ…
賑わしいテラスに、一際大きな笑い声が響いた。
自然と視線が声のした入り口に向くと、いかにも遊んでますといった風貌の男の人たちが数人で入ってきたところだった。
「昨日の合コンはレベル低かったよなー」
「だよな!ブスばっか!」
「一番マシだった子は龍がお持ち帰りしちゃったしな」
…龍?
どこかで聞き覚えのある名前に反応し、様子を伺う。
「でもつまんなかったぜ、胸だけだな。あー、妊娠してたらめんどくせー」
「うわヒニンしなかったのかよ!?」
「だから連絡先教えてねぇし。お前らも聞かれても教えんなよ」
「うわ、こいつサイテー」
と言いつつも、全員でゲラゲラと下品に笑う。
なにがそんなにおかしいのか、聞いているこちらが不快になるような会話だった。
ああいうのは関わらないに限る。
パッと視線を外す。
だけれど、予想外の事態に発展する。
「うわっ、柚…あいつらこっち見た…!ちょっ、なんかこっち来る!」
目の前に座る優輝が慌て始め、えっ、と振り返った時には、すぐ側までさっきの人たちが迫っていた。
「あぁー、ねぇキミ…一年の泉堂チャンでしょー?」
数人の中の1人、茶髪をツンツンにして耳にはピアスをたくさん付けた人が馴れ馴れしく優輝に話しかけた。