Lost voice Ⅱ‐キミ ノ オト‐
「大丈夫っ、優輝に群がる狼は私が全部追い払うからね」
「柚…気持ちはありがたいけど、あたしは柚の方が心配だわ」
「えっ、なんで!?」
「一番怖いのはね、無自覚なことなのよ…。あたしは自分が美人なのわかってるからそれなりに気を付けられるけど」
…今、サラッとすごいこと言ったし。
「あたしなんかよりも、柚のが注目度も高いんだよ?今日はたまたま、柚が背を向けてたから、あの人たち気付かなかったみたいだけど」
え…?
「柚、最近日に日にキレイになってく。きっとすぐに、あたしなんて霞むくらいに。」
「そんな大袈裟な…」
「ほんとだよ?それに柚はあのRainのボーカル。あの人たちの注目具合だって半端じゃないのに、一緒にいることで柚も当然注目される。」
そう、Rainは大学内に限り、知らない人はいないくらい有名だ。
あれだけ目立つメンツが揃い、かつ曲だって本格的だ。
特に暁くんの影響力が強い。
そのバンドの新しいボーカル。
それを優輝は危惧しているのだ。
「私は…別に、なにも困ったことは…」
「これからも何もないなんて、言い切れないから。それに暁さんの目があるから、柚は守られてる。」
え?
「暁さん、柚のことよく見て、すごく気にかけてるよ。柚のこと守ってる」
「そう…なの?」
「だから、柚は柚で気を付けなきゃだめ。…助けてもらったあたしが言うのもおこがましいけどさ」