Lost voice Ⅱ‐キミ ノ オト‐





「ご機嫌に見えるかい?俺が」




「え、あ、いや…」





「さて優輔、一体何をしてたんだい?“俺の”柚に」





俺の、をやたら強調した暁くんの笑みが一層深くなる。




にっこり…と。






怖い。怖すぎるよ暁くん…。






「い、いや…しゅ、愁生…見てたよな?アキに説明してくれ…」






「悪いな、優輔…。俺は平和に過ごしたいんだ」





「愁生の裏切り者ーっ!」






*************






暁くんの気が済んだ時には、優兄はぐったりとテラスのテーブルに突っ伏していた。




「ほんとお前、いい加減学習しろよ…」





「愁生の裏切り者ー…」





愁生さんは、見捨てたことの詫びに優兄に ホットコーヒーを買ってあげていた。




私も、固まってなにも言えなかったので、お詫びに優兄にクッキー全部献上した。





たぶんこれで機嫌は直るはず!





…最近私も、優兄に対する接し方がややぞんざいになってきた。





ちらりと暁くんに視線をやる。





その瞬間、思わず吹き出しそうになった。





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