Lost voice Ⅱ‐キミ ノ オト‐
「ご機嫌に見えるかい?俺が」
「え、あ、いや…」
「さて優輔、一体何をしてたんだい?“俺の”柚に」
俺の、をやたら強調した暁くんの笑みが一層深くなる。
にっこり…と。
怖い。怖すぎるよ暁くん…。
「い、いや…しゅ、愁生…見てたよな?アキに説明してくれ…」
「悪いな、優輔…。俺は平和に過ごしたいんだ」
「愁生の裏切り者ーっ!」
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暁くんの気が済んだ時には、優兄はぐったりとテラスのテーブルに突っ伏していた。
「ほんとお前、いい加減学習しろよ…」
「愁生の裏切り者ー…」
愁生さんは、見捨てたことの詫びに優兄に ホットコーヒーを買ってあげていた。
私も、固まってなにも言えなかったので、お詫びに優兄にクッキー全部献上した。
たぶんこれで機嫌は直るはず!
…最近私も、優兄に対する接し方がややぞんざいになってきた。
ちらりと暁くんに視線をやる。
その瞬間、思わず吹き出しそうになった。