時を越え、君を知る。
怖くないと言ったら嘘になる。
けれど、わたしが平和な時代に生まれることができたのは、この時代の人達が命を懸けて、日本を守ってくれたからである。
その人達を前にして、怖いなんて言ってはいけない気がするのだ。
「いえ。大丈夫です。」
「…辛くなったら云ってくれ。お前は……………、いや、なんでもない。とにかく、あまり抱え込むな。」
「ありがとうございます。何かあったら、長門さんにお話しますね。」
「そうしてくれ。…さて、そろそろ夜も遅い。部屋に戻ろう。」
「あ、はい。」
踵を返した長門さんの後を、置いていかれないように追う。
去り際に、ちらりと見た海は星空を映していた。