時を越え、君を知る。

6.融解



目を覚ますと、すでに長門さんはおらず、代わりに長門さんのものと思われる軍服がわたしの身体にかけてあった。
その優しさに思わず笑みが零れる。

案の定、艦橋のところには軍服を羽織っていない長門さんの姿があった。



乗組員さん達は汗だくになりながら甲板掃除に励んでいた。
そんな中で、ぐーすかと眠っていたことを思うと申し訳ない気持ちになる。


「おはようございます、長門さん。」
「ああ、お早う。」
「みなさん働いているのに眠っていてすみません…。」
「昨日は付き合わせてしまったからな。気にするな。」


どこからか、怒号が聞こえた。
そちらに顔を向けると、雑巾を持った水兵さんが怒られている。

なんでもこの甲板掃除は、中腰の姿勢でやらなくてはならないため、乗組員さん曰くキツイのだそう。
わたしもやらせてもらったが、足が辛くなって、数分と持たなかった。

少しでも手を抜くと怒号が飛んでくる。
怒号だけならまだいいかもしれないが、海軍には鉄拳制裁というものがあるらしく、それは地獄を見るらしい。
実際に見たことはないが、海兵団の頃から囁かれているものに、「鬼の金剛、地獄の山城、音に聞こえた蛇の長門」というフレーズがあり、いろいろ覚悟がいるようだ。



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