時を越え、君を知る。


「…お前が思い悩むことはない。俺達は今を生きなくてはならないんだ。それと同じように須藤も未来を生きなくてはならない。生きる環境が異なるかもしれないが、それが課せられた運命ならば、それに従うまでだろう。」
「…でも、」


一体どれほどの現代人が、数十年前に本当に起こった出来事に目を向けているのか。

祖父母や曾祖父母の世代には、肉親を戦争で亡くした人がいる。
けれど、わたし達若者世代は?
教科書に載っている出来事としか認識していない人も少なからずいるだろう。

移り行く世代の中で、いかなる犠牲で平和が成り立っているかということを、人々はきっと忘れていく。
人々の記憶から薄れていく。

悲しい悲しい出来事は、いつか歴史に溶けてしまう。
今までも、そうやって溶けてしまった歴史はたくさん存在している。
忘れてはいけないのに。


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