時を越え、君を知る。


海にいると気付く前、わたしは下校途中だった。
いつもと同じようにいつもと同じ道を歩いていた。

何も変わったことはしていない。


「他のフネに乗っていたわけでもないな。女は軍人になれない。」


………え?


「ぐん、じん?」


そこで気付く。
長門さんは純白の制服に身を包んでいる。
海上自衛隊の人が着ているような、それ。
でもどこか違う。


「何かおかしいことでも云ったか?」


海上自衛隊の人を軍人とは表現しない。
彼らは自衛官だ。


それなら、どうして長門さんは軍人と言ったのだろう。
そこまで考えて、冷や汗が背中を伝うような、そんな仮説を思い付いてしまった。


わたしは2013年にいた。

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