時を越え、君を知る。
言葉を失い、何も言えなくなった。
この前、会ったばかりなのに。
元気で、と言葉を交わしたばかりなのに。
「戦艦同士の激しい撃ち合いの末、損傷した霧島は自沈処分。午前1時30分に、…沈んだそうだ。」
「っ、そんな…、」
霧島さんの顔が思い浮かんで、消えた。
初対面の印象は良くなかったけれど、彼も心に抱えているものがあった。
きっとそれは、わたしには計り知れないような、大きなもの。
それなのに、わたしの話を聞いて、お礼を言ってくれた。
戦艦の心はフネと運命を共にするものだと、長門さんが言っていた。
わたしも、艦長さんがフネと運命を共にしたという話を聞いたことがある。
それは、この時代の考え方で、その人の生き方なのだ。
それについては、わたしが口出ししていい問題ではない。
けれど、…
けれど、生きるという選択は、ないのだろうか。