時を越え、君を知る。
戦艦(かれら)がこの先、どうなってしまうのか、わたしは知らない。
だけど、現代に『戦艦』というものがないということは、そういうことなんだろう。
記念艦として現存しているものはあると聞いたことがあるが、それは“彼”ではない。
(彼――、ああ、そっか。)
霧島さんを失いたくなかった。
陸奥ちゃんだって生きていてほしいと思う。
でも、その感情よりも、もっと深く。
“彼”に生きていてほしい。
「わたしはっ、生きていてほしいです…っ、長門さんに…!」
「須藤?」
「もし、その時がきたら、長門さんもっ、」
きっと、長門さんは運命を受け入れて、この海の底へ逝ってしまう。
手の届かないところへと、沈んでしまう。
あの夢だ。
最近よく見る夢は、わたしと長門さんは別の存在だということを告げているんだ。
生きる時代も存在も。
だから、わたしは長門さんのもとへ辿り着けない。
手を取り合って生きることはできない。
わたしが長門さんのことを好きだと思っても、叶うことはないのだと、あの夢は言っている。