restart * another sky *からのサイドストーリー
「ここ、―――。」
「あ、……。」
ここなら、ロビーを見渡せるし、向こうからは絶対に気付かれない…。
ロビーは天井が高いし、ぐるりと大きな螺旋階段が、私たちのいるフロアにまで続いている。
階段の一番上には、スタッフオンリーの札が掛かり、お客さんが入って来れないようになっている。
もし見つかったとしても、スタッフだと思われて怪しまれる心配もない。
「ほら、座って。
絶対、ここに人がいるってわかんないでしょ?」
カーペットの上に腰を下ろし、翔平君はいたずらっ子のように私を見つめた。
「…本当だね。」
私も並んで、隣にしゃがみ込む。
「でも、何で??
君たちも、一緒に見る必要、あるの?」
怪訝な顔をした私に、翔平君は屈託のない笑顔を向けた。
「麻友理さん、―――。
俺、嘘ついた。ごめんなさい。」
「えっ、―――?」
「俺とダイキ、付き合ってるって思ってるでしょ?」
―――――??
「ダイキに合わせてくれって頼まれたからなんだけど、俺たち付き合ってないよ。
むしろ、何でも分かり合えるって感じで、兄弟みたいな感じかな。」