restart * another sky *からのサイドストーリー
私は、―――――。
誰かに、愛されたかったのかもしれない。
玲が、羨ましくて、仕方なかった。
航太が私に見せる優しさは、恋人の親友に向けられる優しさだって、わかってたのに。
私は、航太を騙したんだ。
優しさに、つけ込んで、陥れた…。
卑怯な手を、使って。
玲さえいなくなれば、何とかなるって、必死に自分を奮い立たせて…。
一番大切な親友を、傷つけてしまったことに、何の後悔も抱かなかった。
一緒に過ごす時間が増えるたびに、航太の優しさに触れて…。
愛される喜びを噛みしめて、心が満たされた…。
航太の、本当の思いなんて、気付きもしなかった。
うううん、気付こうともしなかったんだ。
玲を忘れるなんて、無理なこと。
航太は、私を選んだんじゃない。
玲が、消えてしまったから、…。
そこに私が、残った、だけ。
こんな簡単なことにも気付かずに、有頂天になってた、私。
勝ったつもりでいた。
ほんと、馬鹿だ…。
最初から間違ってたんだもん。
壊れるのは、一瞬で。
勝負にすらならなかったんだって、気付いた時にはもう、…。
私はまた、浅はかな行動を起こしてしまう。
自分しか、見えてなかったから。