restart * another sky *からのサイドストーリー
由樹。
私が高校生の頃から、付き合い始めた彼の名前。
何もかもが、私の初めて、の人。
由樹は、私の両親からも気に入られていたと思う。
隠す必要もないし、交際はオープンだったし。
家族ぐるみで付き合いもあって、さすがに一緒に住むことは許されなかったけれど、上京する時は、暗黙の了解で近所に家を借りてくれた。
「麻友理のことは、頼んだよ。」
父が由樹に、それとなく話しているのを、何回か聞いたこともある。
それが、由樹とは別れ、東京で就職したかと思えば自殺未遂。
私が親でも連れ戻すわよね。
娘に何があったのか、心配で仕方ないもの。
地元に戻ってから、わかったこと。
私に中絶の過去があることを、両親が知っていたらしい。
いろんな意味で、娘は都会に疲れてしまったんだと解釈してくれたようで。
だから、私はあえて航太の話はしなかった。