ラブバトル・トリプルトラブル
「携帯の質問コーナーに投稿しようか?」
秀樹が急に言い出した。
携帯電話は、生徒会で学校への持ち込みが禁止されたが、女子高生の親が大反対して復活させていた。
だから殆どが黙認されていたのだ。
『僕は高校生です。社会人野球選手になりたいと思っています。どのようにしたら入れるか教えてください』
早速秀樹はメール文を送った。
『スカウティングが殆どです。後、学校の推薦。監督のコネといったところです』
すぐにそう届いた。
「スカウティング?」
「きっとスカウトのことだと思うよ」
「つまりスカウトが全てなのか?」
「多分ね」
直樹は携帯を見ながら呟いた。
「それにコネか?」
「あと、社会人野球を所有している会社に就職すればなれるかもしれないね」
二人はそんなことを話しながら、ずっと携帯とにらめっこしていた。
「どうした?」
そう声を掛けて来たのは野球部のコーチだった。
二人は渡りに船とばかりに社会人野球の斡旋などをコーチに依頼していた。
「スカウトと言うものは、堂々と見に来るものじゃないよ。社会人野球に行きたいなら、実力以外ないな」
コーチは言った。
確かにそうだ。
「でも、こっそり見に来られたのではアピールしようがないです」
直樹が弱音をはいた。
「だから普段から謙虚な降るまいが大切なのだ」
コーチはそう言ってその場を離れた。
「あっ、そうそう。社会人野球で有名な会社に就職すれば良いってもんでもないよ。その場合、どんなに頑張ってもせいぜい同好会止まりだからね」
コーチは思い出したように立ち止まってそう言った。
(えっ!? ヤバい。俺、それしかないと思っていた)
二人は意気消沈したように黙り込んでしまった。
又しても、同じ考えらしかった。
正樹には弱味を見せたくなかった。
社会人野球行きを宣言したのだって、本当の真意はそれだった。
でももう時間のゆとりがなかった。
スカウトが自分達の試合を見に来ているのかも判らない。
二人は焦っていた。
ふと、新聞記事を思い出した。
平成の小影虎。
パパの、長尾正樹の子供だったから記事になった事実を。
それでも、正樹にだけは頼みたくなかった。
パパのカリスマ性を再び利用したくなかった。
秀樹が急に言い出した。
携帯電話は、生徒会で学校への持ち込みが禁止されたが、女子高生の親が大反対して復活させていた。
だから殆どが黙認されていたのだ。
『僕は高校生です。社会人野球選手になりたいと思っています。どのようにしたら入れるか教えてください』
早速秀樹はメール文を送った。
『スカウティングが殆どです。後、学校の推薦。監督のコネといったところです』
すぐにそう届いた。
「スカウティング?」
「きっとスカウトのことだと思うよ」
「つまりスカウトが全てなのか?」
「多分ね」
直樹は携帯を見ながら呟いた。
「それにコネか?」
「あと、社会人野球を所有している会社に就職すればなれるかもしれないね」
二人はそんなことを話しながら、ずっと携帯とにらめっこしていた。
「どうした?」
そう声を掛けて来たのは野球部のコーチだった。
二人は渡りに船とばかりに社会人野球の斡旋などをコーチに依頼していた。
「スカウトと言うものは、堂々と見に来るものじゃないよ。社会人野球に行きたいなら、実力以外ないな」
コーチは言った。
確かにそうだ。
「でも、こっそり見に来られたのではアピールしようがないです」
直樹が弱音をはいた。
「だから普段から謙虚な降るまいが大切なのだ」
コーチはそう言ってその場を離れた。
「あっ、そうそう。社会人野球で有名な会社に就職すれば良いってもんでもないよ。その場合、どんなに頑張ってもせいぜい同好会止まりだからね」
コーチは思い出したように立ち止まってそう言った。
(えっ!? ヤバい。俺、それしかないと思っていた)
二人は意気消沈したように黙り込んでしまった。
又しても、同じ考えらしかった。
正樹には弱味を見せたくなかった。
社会人野球行きを宣言したのだって、本当の真意はそれだった。
でももう時間のゆとりがなかった。
スカウトが自分達の試合を見に来ているのかも判らない。
二人は焦っていた。
ふと、新聞記事を思い出した。
平成の小影虎。
パパの、長尾正樹の子供だったから記事になった事実を。
それでも、正樹にだけは頼みたくなかった。
パパのカリスマ性を再び利用したくなかった。