ラブバトル・トリプルトラブル
一分の望みを掛けて、校長室を訪ねた。
コーチから、スカウト絡みのことで連絡があったからだ。
学校のコネで何とか社会人野球に入れないものかを相談するためでもあった。
「スカウトなら確かに来た。甲子園に出場したのだから当たり前と言ったらそれまでだけど、初めての経験だったから、舞い上がったよ。」
校長先生は勿体ぶったようになかなか本題に入ろうとしなかった。
でもそれは、校長先生とコーチが示し合わせたことだったのだ。
それを知らない秀樹が業を煮やしたところを見計ったように、急ににこやかになって話し出した。
「今来ているのは大阪なんだが。やってみる気はあるか?」
校長先生のその一言に二人は震えた。
「はい。是非ともお願いいたします」
「でもその前に、ヒデは態度を改めてなくちゃダメだよ」
(ん!?)
コーチの言葉に秀樹肩を上げた。
「何をだ? って言いたいようだな」
コーチは秀樹を宥めるように話し始めた。
「さっきヒデは校長先生の話が待てずにいたな? そのことだよ。いいか?」
コーチの目は真剣そのものだった。
だから傍にいる直樹も緊張した。
「社会人野球だってプロ野球だって、駆け引きと言う物がある。でもヒデはすぐに業を煮やす。腹を立てた時点で、もうヒデの敗けは決まったようなものだ。それが、あの決勝戦で出た。ナオがホームランを打ってくれたから良いようなもの……、その態度直さなければ世の中通じないぞ」
コーチは秀樹の肩を叩いた。
「あの試合はもしかしたら、俺が腹を立てさせるのが目的だったのか?」
秀樹の質問にコーチは頷いた。
「ヒデを怒らせて、動揺させれば良かったんだと思うよ」
「そうすれば球が決まらなくなるか?」
秀樹は、肩を落とした。
「でも、甲子園では良くがまんしたな。あの調子で頑張るよ。それと大阪のことだけど、彼処のコーチは俺のライバルだ。良く頼んでおくよ」
コーチはそう言って校長室を後にした。
(もしかしたらコーチが頼んで?)
秀樹はコーチの後ろ姿を見送りながら、深々と頭を下げた。
それを見ていた校長先生はニコニコしていた。
何か言いたい時、良くそう言う態度になる。
隠しておけないタイプのようだ。
コーチから、スカウト絡みのことで連絡があったからだ。
学校のコネで何とか社会人野球に入れないものかを相談するためでもあった。
「スカウトなら確かに来た。甲子園に出場したのだから当たり前と言ったらそれまでだけど、初めての経験だったから、舞い上がったよ。」
校長先生は勿体ぶったようになかなか本題に入ろうとしなかった。
でもそれは、校長先生とコーチが示し合わせたことだったのだ。
それを知らない秀樹が業を煮やしたところを見計ったように、急ににこやかになって話し出した。
「今来ているのは大阪なんだが。やってみる気はあるか?」
校長先生のその一言に二人は震えた。
「はい。是非ともお願いいたします」
「でもその前に、ヒデは態度を改めてなくちゃダメだよ」
(ん!?)
コーチの言葉に秀樹肩を上げた。
「何をだ? って言いたいようだな」
コーチは秀樹を宥めるように話し始めた。
「さっきヒデは校長先生の話が待てずにいたな? そのことだよ。いいか?」
コーチの目は真剣そのものだった。
だから傍にいる直樹も緊張した。
「社会人野球だってプロ野球だって、駆け引きと言う物がある。でもヒデはすぐに業を煮やす。腹を立てた時点で、もうヒデの敗けは決まったようなものだ。それが、あの決勝戦で出た。ナオがホームランを打ってくれたから良いようなもの……、その態度直さなければ世の中通じないぞ」
コーチは秀樹の肩を叩いた。
「あの試合はもしかしたら、俺が腹を立てさせるのが目的だったのか?」
秀樹の質問にコーチは頷いた。
「ヒデを怒らせて、動揺させれば良かったんだと思うよ」
「そうすれば球が決まらなくなるか?」
秀樹は、肩を落とした。
「でも、甲子園では良くがまんしたな。あの調子で頑張るよ。それと大阪のことだけど、彼処のコーチは俺のライバルだ。良く頼んでおくよ」
コーチはそう言って校長室を後にした。
(もしかしたらコーチが頼んで?)
秀樹はコーチの後ろ姿を見送りながら、深々と頭を下げた。
それを見ていた校長先生はニコニコしていた。
何か言いたい時、良くそう言う態度になる。
隠しておけないタイプのようだ。