ラブバトル・トリプルトラブル
「寝られないの? ごめんな、ママのせいで」
直樹君は不思議なことを言った。
(ママのせいって何かしら?)
私は直樹君の言葉の意味が解らず、ただボーッとしていた。
頭を打ったからでもないらしい。
「ねえ、直樹君。まだママって言っているの? 可愛いけどね」
「何だよ可愛いって」
直樹君は少し怒ったように言った。
「俺達のママは、お母さんとかお袋とか言わない前に亡くなったからね。だから何時までもママのままなんだ」
しみじみと直樹君が語る。
私はその時、昼間の行動を思い出していた。
(ママせい? それって何?あっ、私……確か『すいません。私、この二人のお母様に頼まれてまして』って言ってた。だからか? 『あー、やっぱり!!』って言ったんだ。『何なんだ?』の後で『ママが憑いて来た』だから大君までもが……『えっーーっ又かー!!』って言ったのか?)
必死に言い訳をする私を直樹君が不思議そうに見ていた。
(あれは一体何だったの?)
三人の顔を思い出してみる。
でも其処に答えはなかった。
(やだな、私は中村紫音以外の誰でもない)
それでも直樹君のママならいいか、と思っていた。
私は妄想を諦めて、目を瞑った。
少しだけでも寝ておかないと明日が辛いと思って。
朝起きたら、あれもやろう、これもやろうという思いだけが空回りする。
私は又も自ら、眠れない材料を体に取り込んでしまったようだ。
(ふふふ、バカだね私。直樹君のママは五年も前に亡くなったんだよ。私なんかを選ぶはずがないよ)
私はさっきの想像を否定しながら、やがて訪れた眠りの中にいた。
直樹君は不思議なことを言った。
(ママのせいって何かしら?)
私は直樹君の言葉の意味が解らず、ただボーッとしていた。
頭を打ったからでもないらしい。
「ねえ、直樹君。まだママって言っているの? 可愛いけどね」
「何だよ可愛いって」
直樹君は少し怒ったように言った。
「俺達のママは、お母さんとかお袋とか言わない前に亡くなったからね。だから何時までもママのままなんだ」
しみじみと直樹君が語る。
私はその時、昼間の行動を思い出していた。
(ママせい? それって何?あっ、私……確か『すいません。私、この二人のお母様に頼まれてまして』って言ってた。だからか? 『あー、やっぱり!!』って言ったんだ。『何なんだ?』の後で『ママが憑いて来た』だから大君までもが……『えっーーっ又かー!!』って言ったのか?)
必死に言い訳をする私を直樹君が不思議そうに見ていた。
(あれは一体何だったの?)
三人の顔を思い出してみる。
でも其処に答えはなかった。
(やだな、私は中村紫音以外の誰でもない)
それでも直樹君のママならいいか、と思っていた。
私は妄想を諦めて、目を瞑った。
少しだけでも寝ておかないと明日が辛いと思って。
朝起きたら、あれもやろう、これもやろうという思いだけが空回りする。
私は又も自ら、眠れない材料を体に取り込んでしまったようだ。
(ふふふ、バカだね私。直樹君のママは五年も前に亡くなったんだよ。私なんかを選ぶはずがないよ)
私はさっきの想像を否定しながら、やがて訪れた眠りの中にいた。