ラブバトル・トリプルトラブル
 「美紀の母親は助かったけど、その後で悲惨な事件が多発したらしい。大阪では、バラバラ殺人事件の遺体隠しに使用されたと聞く。本当に美紀の母親は恵まれていたんだよ」


「でも、コインロッカーに棄てられたんだよね」


「ああ、そうだよ。でも当時コインロッカーは多くなかったんだ。だから使い方を知らなくて、鍵がまともに掛けられていなかったようだ。だから窒息しないで済んだんだ」

何時になく直樹君は声高だった。


「コインロッカーって気密性が高いだろう? それにパパに逢えた。美紀の母親はパパの初恋の人なんだそうだよ」


「そう、確かに……」

私は自分達の出逢いにも運命的な何かを感じて鳥肌に覆われながら其処にいた。




 「パパは、大阪の誘拐事件と新幹線を結び付けたんだ。俺達が甲子園で練習に参加していた頃、美紀がこの家で誘拐された娘の子供だったと探り当てていたんだ」


「パパ凄い……」
それ以上言葉は出て来ない。
私は直樹君のパパの愛の深さに感動していた。


(そうだよね。だから、家のママも直樹君のパパが大好きだったのよね)

そう……
私の母は、平成の小影虎こと、直樹君と秀樹君のパパの大ファンだったのだ。




 「美紀の本当のママは、美紀を産んですぐに亡くなったそうだ」

直樹君はそう言った後で、パパから聞いたと言う一部始終を私に語ってくれた。


「だからママとパパは美紀を育てることにしたんだ。『双子でも三つ子でも大して違わないよ』とかママは言ったらしい。俺のママはそう言う人だ。人間がデカイと言うか? 人の迷惑省みない人でもあったけどね」

直樹君が笑っていた。


でもそんな優しいパパに……
美紀ちゃんが恋をした。

直樹君も秀樹君も何が何だか解らず、苦しんだに違いないと思った。




 美紀ちゃんの本当のママが、実の姉妹に殺されかけた事実はショックだった。


大阪の、この邸宅で産まれた双子の姉妹は、同じ人を愛したんだ。
それは人気ロックグループα(アルファー)のボーカルだった。
その人が美紀ちゃんのお父様だった。

美紀ちゃんの本当の両親は施設で出会い恋をして結ばれた。


それを事務所サイドは隠していたようだ。
だから発覚した時、事件は起きたようだ。




< 208 / 228 >

この作品をシェア

pagetop