ラブバトル・トリプルトラブル
 練習でも、ボールは二球まで使用する。

試合形式で回すためだった。

球を打つ技術だけでは良いプレーヤーとは言えない。
何事にも動じない精神力を鍛えること。

それが一番の課題だった。




 前衛の練習は、後衛同士が正クロスや逆クロスのラリーをしている前に飛び出してタイミング図ることから始まる。

ボレーやカットで、ネットギリギリに落とすことを意識する。

勿論スマッシュが決まれば申し分ない。


練習過程を六通りに分ける。

コーディネーション。
フットワーク。
ショット技術向上。
ストローク。
ネットプレー。
サーブ。
それらを一つ一つこなした後で総合練習となる。

一番大切なのはフットワークだ。
イチ、ニィ、サンのリズムでスイングする。

バックハンドストロークも、フォアハンドストロークもイチはその場で軽くジャンプする。
全ては其処から始まるのだ。




 バックハンドストロークは、ニィで後ろ足を一歩引いて重心を置く。
つまり左足が後ろ、右足が前に来る。
サンで、前に踏み出しながらラケットを振る。
この時右足が前に来る。


フォアハンドストロークは、ニィで後ろ足を一歩引いて重心を置く。
右足が後ろで左足が前に来る。

サンで前に踏み出しながらラケットを振る。


左右の移動は、どちらにも行ける待球体制をとる。
右へは右足を踏み出してから走り始める。
左へは左足を踏み出しす。

第一歩目で足がクロスして走り出してはいけない。
補球場所への到着が遅くなり、バランスを崩しかねないからだ。

フットワークは第一歩目で体の方向を決めることが大切で、まず左右の足を軽く一歩出してから勢いを付けて走って行く。

それが一番早くボールに追い付く方法だと美紀は信じていた。




 試合に勝つ上で一番大事なのはチームワークだ。
野球でもソフトテニスでもそれは同じことだ。

でも前衛と後衛のコンビネーションプレイが要求されるテニスは格別だった。


テニスは確率のスポーツだと言われる。
ボールをしつこく返す。
得意なプレーで押し通す。
弱点を徹底して突く。
攻撃する人を決め集中的に攻める。試合に勝つ確率を上げる。
これが大切なのだ。

でも実力が伴わないとそれは生かされない。
だから練習をする。
美紀は本気でそう思っていた。

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