ラブバトル・トリプルトラブル
 何をどうしたら良いのか解らなくて、頭の中は真っ白だった。

口の中が異常に渇き、手が小刻みに震え混乱した頭を整理出来ない。


私は落ち着こうと、上がりを口に運んだ。


そんな私をアイツは抱き締めてた。

嬉しくて仕方ない。

でも私は意識もしない行為に出ていた。

恥ずかしくて、私は直樹君の手をはねのけていたのだ。


その時気付いた。

手にも力が入らない事実を。


私は大好きな直樹君にただ抱き締めるられる結果になったのだ。

私はただ震えていた。
直樹君のプロポーズは勿論嬉しい。
でも私は自信がない。
料理も出来ないのだ。


「私は直樹君のお嫁さんになる資格もない。料理も出来ないし、掃除だって……」


「そんなもんは二人でやればいい」
直樹君が言っている。

私はただ呆然と聞いていた。


「俺は今すぐ皆が見ている前で結婚したい」




 私はすぐ母に導かれ、階段隣の更衣室に連れて行かれた。
其所には白い喪服が置いてあった。


「珠希さんの唯一の花嫁道具だったそうよ」


「白い喪服は、一生この人だけを愛します。っていう意思表示なのだそうだ。でもこれは俺の気持ちなんだ。俺はどんなことがあっても、中村紫音さんだけを愛すると誓います」
直樹君が、膝ま付く。

そして私の手を取り口付けた。


白い喪服。
母の憧れだった少女漫画のヒロインが婚約者の死を知り、葬儀の際にそれで現れた。

アニメにもなり、再放送で何度も聞かされた逸話。

珠希さんも憧れて、それを選んだのだ。




 その時、大君と秀樹君が顔を出した。


「俺達も一緒だってこと忘れないでよ。イチャイチャされちゃ、たまったもんじゃない」
二人はそう言いながら、席に戻っていった。


「あぁ、びっくりした。どうして大君が……」


「ごめん、俺が呼んだんだ。これからの二人のこともあるからね」
直樹君はそう言いながらウィンクをした。


結婚式は古式ゆかしく三三九度。


「俺の両親もこれだけだったんだって。でも物凄く仲の良くて……だから、俺もこのスタイルが良いって決めていたんだ。ごめんね、何の相談もしないで勝手に決めて」

直樹君はそっと私の頬に手を持っていった。
そして私の顎を少し上げると、自分の唇を私の唇に重ねた。




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