ラブバトル・トリプルトラブル
何も知らず、得意になっていた。
ママのラケットを遺せたことを自慢に思っていた。
「でもどうして姉が運転していたの?」
その言葉に正樹はドキンとした。
そう、あの頃は殆ど正樹が運転していたのだった。
言えなかった。
言えるはずがなかった。
珠希はソフトテニスのラケットを自分の好意としている店で購入するために自分で運転していたのだった。
美紀の心を守るために秀樹とついた嘘。
沙耶を前にして、言えるはずがなかったのだ。
それは聞き耳を立てている秀樹も同じだった。
美紀にはもうこれ以上の苦労はさせなくないと思い初めていたのだった。
(でも……一体、どうしたらいい? うーん。美紀の料理は美味しいからそのまま作ってもらって……あれっ、結局何も変わらないか?)
秀樹は優柔不断な自分に気付き頭を掻いた。
「何があったのか知らないけど。美紀ちゃんが関係しているんじゃない?」
ズバリと沙耶は言う。
正樹は慌てて首を振った。
「そう言えば美紀ちゃんのお母さんの結城智恵さんって、確かお義兄さんの初恋の人だったでしょう?」
信じられない沙耶の言葉に秀樹は思わず身を乗り出していた。
「分かった。美紀ちゃんね。あの子と結婚する気ね。そう言えばいつもパパのお嫁さんになるって言っていたし」
秀樹が聞いているとも知らず、沙耶は美紀の真実を語っている。
(そうだよ。確かに小さい時から美紀は、『パパのお嫁さんになる』って言っていたんだ……)
「やめて下さい。そんな事考えたこともない」
正樹は頭を振った。
「いいえ、きっとそう。いくら血が繋がってないと言ってもねー。実は私本当は、美紀ちゃんはあなたの本当の子供じゃないかと疑ってるのよ!」
沙耶は興奮していた。
「違います!」
思わず声を荒げる正樹。
(ここしかない!)
秀樹は何も聞いてない振りをして、車をノックした。
「お、秀樹か」
正樹は車のドアを開けた。
秀樹は助け舟になれたようだった。
「すいません。実は今日は誕生日なんです」
正樹は沙耶に会釈して車を降りた。
「えっ!誕生日って、もしかしたらママの?」
「ん、お前知らなかったのか?」
正樹は笑った。
沙耶も気付いていなかったようで、車から降り早足で帰って行った。
ママのラケットを遺せたことを自慢に思っていた。
「でもどうして姉が運転していたの?」
その言葉に正樹はドキンとした。
そう、あの頃は殆ど正樹が運転していたのだった。
言えなかった。
言えるはずがなかった。
珠希はソフトテニスのラケットを自分の好意としている店で購入するために自分で運転していたのだった。
美紀の心を守るために秀樹とついた嘘。
沙耶を前にして、言えるはずがなかったのだ。
それは聞き耳を立てている秀樹も同じだった。
美紀にはもうこれ以上の苦労はさせなくないと思い初めていたのだった。
(でも……一体、どうしたらいい? うーん。美紀の料理は美味しいからそのまま作ってもらって……あれっ、結局何も変わらないか?)
秀樹は優柔不断な自分に気付き頭を掻いた。
「何があったのか知らないけど。美紀ちゃんが関係しているんじゃない?」
ズバリと沙耶は言う。
正樹は慌てて首を振った。
「そう言えば美紀ちゃんのお母さんの結城智恵さんって、確かお義兄さんの初恋の人だったでしょう?」
信じられない沙耶の言葉に秀樹は思わず身を乗り出していた。
「分かった。美紀ちゃんね。あの子と結婚する気ね。そう言えばいつもパパのお嫁さんになるって言っていたし」
秀樹が聞いているとも知らず、沙耶は美紀の真実を語っている。
(そうだよ。確かに小さい時から美紀は、『パパのお嫁さんになる』って言っていたんだ……)
「やめて下さい。そんな事考えたこともない」
正樹は頭を振った。
「いいえ、きっとそう。いくら血が繋がってないと言ってもねー。実は私本当は、美紀ちゃんはあなたの本当の子供じゃないかと疑ってるのよ!」
沙耶は興奮していた。
「違います!」
思わず声を荒げる正樹。
(ここしかない!)
秀樹は何も聞いてない振りをして、車をノックした。
「お、秀樹か」
正樹は車のドアを開けた。
秀樹は助け舟になれたようだった。
「すいません。実は今日は誕生日なんです」
正樹は沙耶に会釈して車を降りた。
「えっ!誕生日って、もしかしたらママの?」
「ん、お前知らなかったのか?」
正樹は笑った。
沙耶も気付いていなかったようで、車から降り早足で帰って行った。