ラブバトル・トリプルトラブル
「美紀似てる……。やはり美紀は母親似なんだな」
正樹がしみじみと呟く。
(そうだよな……だから俺は美紀に智恵を見ていたのか?)
親を探す手段なのか、特徴が細々と書かれた書類を見ながら何となく納得した。
「ところで、彼女の親見つかったんですか? あっそうか。見つかっていたら此処には……」
そう、いるはずはないのだ。
正樹は深々と頭を下げながら資料のコピーを受け取った。
正樹は新聞記事と資料のコピーを受け取り施設長の母親が住んでいると云うアパートに向かった。
「結城智恵さん? ああ良く覚えているわ。コインロッカーに捨てられていた。でも初めの頃で救われたの。きっとコインロッカーの使い方知らなかったのね。鍵がちゃんと掛かっていなくて、泣き声に気付いた」
元施設長の声が止まった。
正樹は見ると元施設長は泣いていた。
「あんな……あんな可愛い子を平気で捨てる親がいたなんて……本当に信じられない事件だったわ」
正樹の差し出した資料を見た元施設長は、再び涙を流した。
「不躾な質問ですが、彼女の旦那さんってどのような人だったのですか?」
正樹は一番聞きたい質問をした。
「あの子も駅で保護されたと聞いているわ。二才年上だったのかな?」
元施設長は、手持ちのアルバムを出してきた。
「同じ時期に此処で出会ったのよ。彼は三歳児だと思われた。駅のホームに置いてきぼり。母親の顔が判断出来年頃でしょう? きっと辛かったと思うわ」
涙で声がかすれる。
「ごめんなさい。この頃涙もろくなっちゃって。似たような境遇だったから二人はいつも一緒にいたわ。まるで兄妹のようだった。智恵さんは乳児院から此処へ移されて心細かったのね。彼にベッタリだったわ」
そう言いながら、新聞の記事のストックの中から一枚を取り出した。
それには美紀の本当の父親・結城真吾(ゆうきしんご)の死亡記事が載っていた。
「えっ!? この男性は確か……」
「そう、ロックグループのボーカルだった結城真吾。彼よ」
「確か熱狂的なファンに殺されたと聞きましたが……」
結城真吾は園長が名付けた名前ではなかった。
智恵と結婚しようとした真吾自身が選んだ名前だった。
同棲中から。
デビューする前から。
彼はそう名乗っていた。
誰もが本名だと疑わなかった。
でもそれは、それを本名にするための手続き。
真吾は智恵と結婚したかったのだ。
正樹がしみじみと呟く。
(そうだよな……だから俺は美紀に智恵を見ていたのか?)
親を探す手段なのか、特徴が細々と書かれた書類を見ながら何となく納得した。
「ところで、彼女の親見つかったんですか? あっそうか。見つかっていたら此処には……」
そう、いるはずはないのだ。
正樹は深々と頭を下げながら資料のコピーを受け取った。
正樹は新聞記事と資料のコピーを受け取り施設長の母親が住んでいると云うアパートに向かった。
「結城智恵さん? ああ良く覚えているわ。コインロッカーに捨てられていた。でも初めの頃で救われたの。きっとコインロッカーの使い方知らなかったのね。鍵がちゃんと掛かっていなくて、泣き声に気付いた」
元施設長の声が止まった。
正樹は見ると元施設長は泣いていた。
「あんな……あんな可愛い子を平気で捨てる親がいたなんて……本当に信じられない事件だったわ」
正樹の差し出した資料を見た元施設長は、再び涙を流した。
「不躾な質問ですが、彼女の旦那さんってどのような人だったのですか?」
正樹は一番聞きたい質問をした。
「あの子も駅で保護されたと聞いているわ。二才年上だったのかな?」
元施設長は、手持ちのアルバムを出してきた。
「同じ時期に此処で出会ったのよ。彼は三歳児だと思われた。駅のホームに置いてきぼり。母親の顔が判断出来年頃でしょう? きっと辛かったと思うわ」
涙で声がかすれる。
「ごめんなさい。この頃涙もろくなっちゃって。似たような境遇だったから二人はいつも一緒にいたわ。まるで兄妹のようだった。智恵さんは乳児院から此処へ移されて心細かったのね。彼にベッタリだったわ」
そう言いながら、新聞の記事のストックの中から一枚を取り出した。
それには美紀の本当の父親・結城真吾(ゆうきしんご)の死亡記事が載っていた。
「えっ!? この男性は確か……」
「そう、ロックグループのボーカルだった結城真吾。彼よ」
「確か熱狂的なファンに殺されたと聞きましたが……」
結城真吾は園長が名付けた名前ではなかった。
智恵と結婚しようとした真吾自身が選んだ名前だった。
同棲中から。
デビューする前から。
彼はそう名乗っていた。
誰もが本名だと疑わなかった。
でもそれは、それを本名にするための手続き。
真吾は智恵と結婚したかったのだ。