ラブバトル・トリプルトラブル
 「ねえ、一回表三者凡退でしたでしょう? 良かったら流れ教えてもらえないかな?」

美紀は試合終了後、マネージャー見習いの彼女に持ちかけた。

彼女は頷いた。


「復習は私の勉強にもなります。試合は残念でしたが……」

彼女はそう言いながら、さっきまで記帳していたスコアブックを取り出した。


「四角の中に菱形なんてパッチワークの模様みたいですね」

美紀が言うと、彼女はハッとした。


「あぁ、言われてみればそうですね。そうだこのパターン使えそうだわ」


「パターン?」


「私パッチワークもやるんだ。素晴らしいヒントありがとうございます」

彼女はペコリと頭を下げた。




 「一回表での三者凡はね」
彼女の解説が始まった。


「最初の打者は三だからファーストね。一番バッターは兎に角塁に出ることなの。四角い枠の横に投球カウントを記入するのね。菱形の中にはアウトカウントや得点など記入するのね大概ⅠⅡⅢね」

美紀は指で確認しながら頷いていた。


「そうだ。これだけ説明しておくね。菱形の右下には打撃結果と本塁から一塁までのプレイを記入するの。右上には一塁から二塁までのプレイを記入するのね。左上には二塁から三塁までのプレイを記入するの。左下には三塁から本塁までのプレイを記入するの。全部ひっくるめて、一人の一イニングでの攻撃になるのよ」


「この丸は何ですか?」


「見逃しでストライクです。中に十字を入れると、空振りです。黒く塗り潰したのはボールなんだけど、ファールやバントファールにも使うの。後二重丸はバント空振り……」


「えっ、私二重丸は良い結果だと思っていました。違うんですね」


「そうテストの成績とは違いますね」

彼女はそう言いながら笑っていた。




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