好きだったよ、ずっと。【完】
「足りた?」



そう聞かれ、小さく頷いた。



「ずっと待たせて、ごめんな?」



「しゅ…、んやぁ…」



春夜の言葉に一気に感情が溢れ出して。



「春夜が、ずっと好きだったのっ…」



「あぁ」



春夜は、わたしを抱きしめ子供をあやすように髪を撫でた。



「璃香が春夜のこと、好きだって言った時、すごくツラかったのっ…」



「あぁ」



「二人が、付き合ったと聞かされた時も、おかしくなりそうだったぁ…」



「あぁ」



「春夜の会社に誘われた時は、また一緒にいられるって、まだ好きでいていいのかなって…、でもやっぱり苦しくてっ…」



「…あぁ」



泣きながら話す、わたしの言葉を春夜はずっと静かに聞いてくれていた。
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