好きだったよ、ずっと。【完】
「うん…、好き」



また「好き」と言ってみる。



この言葉を何度言おうとしたか分からない。



言いたいけど、言えなくて10年が過ぎた。



「ま、あとから適当に注文すっか」



「うん」



そう言ってもわたしはメニュー表を、くまなく見ていた。



「お待たせしました。ビールですね」



店員さんが入ってきて春夜は「ありがとう」と、ビールを受け取った。



「何かご注文はございますか?」



店員さんに聞かれ春夜は「あぁ、じゃぁね…」と、適当に指をさし頼んでいた。



見ると、わたしの好きなものばかり。



というか、食べ物の好みが似ているんだろう。
< 13 / 267 >

この作品をシェア

pagetop