好きだったよ、ずっと。【完】
「悪い、待たせたな」



中に入ると、相変わらず客はいなく間宮一人だった。



さっきのバイトの子は帰ったのか、奥に引っ込んだままなのかマスターしかいなく俺が会釈するとニコリと笑った。



「ホント、遅いんだけど」



間宮は若干不貞腐れていたけど、「まぁ、座れば?」と口角を上げ言った。



ガタリと椅子を引き座りマスターに、「珈琲一つで」と頼んだ。



「はいはい」とマスターの返事が聞こえ、すぐに俺の前に運ばれてきた。



間宮に聞かなかったのは、まだ湯気だ立っている珈琲があったから。



これで何杯目なのかは…、聞かないことにしよう。



「マスター、バイトの子は?」



珈琲を置いて去ろうとしたマスターに聞いた。



「あぁ、ご覧の通り暇だからね。帰ってもらったよ」



そっか…、暇だから帰されたのか。



そんなことが続くとお金にもならないし、そりゃ辞めるよな。



「そっか。でも俺ここ好きだからさ、ずっと続けてほしいな」



ここは俺たち三人の思い出の喫茶店でもあるしな。



「ありがとう。君たち三人は、よく来てくれてたからね。続けれるまで頑張るよ」



「あのっ、俺初めてここ来たんですけど。すごく落ち着くっていうか…。また来たいから、だから、続けてください!」



突然の間宮の発言に俺もマスターも一瞬驚いたが、マスターは「ありがとう。また是非来てよ」と目尻を下げ、定位置へと戻って行った。
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