好きだったよ、ずっと。【完】
早速運ばれてきた、熱々の珈琲を一口飲み「はぁ…」と溜め息を一つ。



持っていたコーヒーカップを、コトリとテーブルに置いた。



「あのさ、間宮」



「うん、なに」



早速、本題に入ろうと声を掛けた。



「ぶっちゃけ、朱里のことどう思ってんだよ」



「え?好きだけど?」



鼻で笑いながら、挑戦的な目で俺を見てきた。



「マジかよ…」



やっぱり、そうか…。



そうなのか…。



男も女も一瞬で人を好きになったりするって言うしな…。



「友達として、だけどな?」



「は?」



俺が頭を抱えブツブツ言ってると聞こえてきたのは、友達として好き…、と。



眉間に皺を寄せ間宮を見上げると、スクスクと笑っていた。



この野郎、俺の反応見て楽しんでんなコイツ。



俺は間宮を睨みつけた。



「まぁまぁ、そんな怒んなって。誰もお前の朱里ちゃんは取らないから」



「べ、別に俺の朱里って…」



「あれ?木ノ瀬、朱里のこと好きじゃねぇの?なら、俺のモノにしていい?」



「だっ、そんなのダメに決まってんだろ!俺のだ、俺の朱里だから取んな!」



勢いよくそう言うと、間宮はクスリと笑い俺を見た。



コイツ、絶対俺で楽しんでる…。



「分かったって。けど、ごめん。木ノ瀬に謝らなきゃいけないことがある」



間宮は急に真顔になると、頭を下げた。



「な、なんだよ。急に…」



分かってた。



間宮が何を言おうとしたのか。



あの夜のことだろ?



聞きたい、でも怖くて聞きたくない。



そんな感情が、俺を襲った。
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