好きだったよ、ずっと。【完】
外に出て、また来た道を歩く。



「何回往復してんだ、俺…」



はぁ…、と溜め息を吐くも朱里に会えることが楽しみで。



…って、会ったばかりなのに乙女か俺は。



「連絡しないで、行って大丈夫か?」



「また連絡する」と言って、朱里の家を出たけど、すぐに来るとはあいつも思っていないはずだ。



「まぁ、いいか」



俺は、ほんの少しだけ口角を上げると朱里の家に向かった。



また、電車に揺られ二駅。



駅を降りれば、すぐ朱里の家に着く。



俺の心は完全、乙女になっていた。



それはもう、気持ち悪いくらいに…。



朱里の家の前まで来て、インターホンを押す。



<ピンポーン>と鳴るが、朱里が出てくる様子はなくて。



「出掛けたのか…?」



多少、残念な気持ちになった。



さすがにもう出てこねぇな、と帰ろうとすればドタバタと聞こえてきた足音。



と、思った瞬間勢いよくドアが開いた。
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