好きだったよ、ずっと。【完】
「春夜!!どうしたのっ!?」



「どうしたのって、お前簡単にドア開けんなよ。危ねぇだろ」



「ちゃ、ちゃんとわたしだってカメラくらい見ますー!!」



「とりあえず、上がらせろ」



そう言って俺は朱里の返事を待たずに、玄関へ入った。



「なにしてたんだよ」



「なに、ってお風呂に入ってて…」



そう、朱里の髪は濡れていて毛先からポタポタと水が垂れていた。



俺が早くドアを閉めたかったのは、ノーブラにキャミソール一枚だったから。



下こそは、ちゃんと穿いててくれてたから良かったものの。



…って、全然良くねぇ。



ノーブラにキャミなんて、襲ってくださいと言ってるようなもんだろ。



「それは見れば、分かる。なんでこんな時間に入ってんだよ」



「え、だって…。朝入れなかったから…」



「…でも、夜は入ったんだろ」



「え?あ、うん…」



ラブホって、風呂丸見えだったりするよな…。



うっわ、最悪。



聞かなきゃ良かった。



これで一緒に入ったなんて聞いたら、マジ立ち直れないかも。



俺は軽く頭を振って、そのことを頭の中から吹き飛ばした。
< 136 / 267 >

この作品をシェア

pagetop