好きだったよ、ずっと。【完】
「え。今から…、ですか」



ごはんも食べ終わり、さてお風呂でも入れようかとした時、春夜の携帯が鳴り眉間に皺を寄せながらも取ると、それはすぐに戸惑いの言葉になった。



「あ、いえ。大丈夫です、はい」



電話が終わったようで、わたしは春夜を見つめていると目が合った。



「わりぃ。仕事だわ…」



「ううん、そんな感じしてたから気にしないで?」



だって、課長だもん。



仕方ない。



「仕事とわたし、どっちが大事なの!?」



「は?」



理解しなきゃと思ってたとこに、突然春夜が声高く喋った。



「とか、言わねぇのな」



「なに、言ってほしいの?」



「うーん、朱里になら言われてもいいかな」



「なに、バカなこと言ってんの。早く用意しなよ」



内心は、ちょっと嬉しかったりして。



でも、その言葉を言ってしまうと自分が本気で止めたくなっちゃう気がして。



「はいはい。朱里ちゃんは、聞き分けのイイ女だからね」



なに、その言い方。



ふざけたような言葉に、胸がキュッと痛くなった。
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