好きだったよ、ずっと。【完】
「わたしだって…」



「ん?」



「わたしだって、本心は行ってほしくないんだから!!」



あーぁ、こんなこと言うつもりじゃなかったのにな。



春夜の顔をまともに見れずにいると、クスリと笑ったのが分かった。



そして、春夜が近付いてきたかと思うと、ギュッと抱きしめられた。



「うん、やっぱり朱里に言われるのなら、いいな」



「なに言って…」



「朱里のワガママは、可愛い」



「なっ…」



こんなこと今まで、言われたことがなかったからどうしていいか分からなくなった。



「なーに、挙動不審になってんだよ」



「だって…」



「それより」



わたしが目を逸らすと、両手で顔を包まれた。



「抱けなくて、ごめんな?」



「べっ、別に!それが目的で付き合ってるわけじゃないでしょっ!!」



「まぁ、そうだけど。資料室でヤっちゃうか」



「バカっ!!」



春夜はククッと喉を鳴らすと、「コンドーム置いてくわ」と言い残し、わたしの部屋を出て行った。
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