好きだったよ、ずっと。【完】
「でも、ホントに良かった…。あの時の朱里ちゃんは、ホントに苦しそうで、でもわたしに気遣ってくれて、初めて会ったのに、何とかしてあげたいって思うくらいだったから…」



「紗央里…」



「でも、結局何も出来なかったんだけど…」



「そんなことないよ?その気持ちだけで、じゅうぶんだから」



紗央里も紗希も、優しい。



この会社で働くことができて、ホントに良かったと心から思ってるよ。



「でぇ?さっきまで木ノ瀬課長がいた、と?」



「え、わたしそんなこと一言も…」



突然紗希が、言い出したことに首を傾げた。



「じゃぁ、これはなにかしらー?」



なんて、片手で持って見せびらかすようにした、小さな箱。



「え、あ、ちょっ、それ!!」



そうだった…、春夜が置いていったんだった…。



すっかり忘れてたわたしは項垂れ、紗央里は「キャッ」と可愛い声を出し両手で顔を覆うも、指の隙間からちゃっかり見ていた。



「バカ、春夜…」



月曜、どっかで二人になったら文句言ってやるんだから!!



初めての夜を、迎えるつもりだった。



けど、それは叶わなくて。



でも女三人で、こうやって話し込むのは好きだから、すごく楽しかったんだ。



二人に、話せて良かった…。
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