好きだったよ、ずっと。【完】
当時クラスの男の子に言われたことがあった。



「前田、いつもあの二人の間に入ってるけどさ、木ノ瀬とそういう関係にならないのか?」



「え…?」



「あー、なるわけないか。お前、女っ気ゼロだしな。ほんとあの二人、美男美女だよなー。お前二人の中、引き裂くなよ?」



まるで、わたしと春夜は合わない…、そう言われたように聞こえた。



当時のわたしは本当に女っ気がなかった。



何をするにもガサツで、胡座を掻くなんて当たり前。



ダイエットとかしたこともなかったし、いつもスッピンだった。



おまけに声まで低くて、言葉遣いも女らしくない。



そんなわたしが春夜と恋人になれるわけがない。



何で、好きになっちゃったんだろう…。



二人が恋人になってから、わたしは少し距離をあけた。



たまに二人が手を繋いで廊下を歩く。



そんな姿を見るたびに、胸が痛くなって目頭が熱くなる。



「朱里も一緒にゴハン行こう?」



「あー、わたしはいいや。二人で楽しんできて」



いつしか、わたしはこの二人の中にいることすら嫌になっていた。
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