好きだったよ、ずっと。【完】
「え?え?だって、璃香ちゃんと結婚するんだよね…?」



「いや、璃香とは別れたからしねぇよ。な、璃香」



「うん、ごめんね…?何かみんなが盛り上がってて、言いだせなかった…」



璃香は、弱々しく笑った。



「えぇっ!?どうして、別れちゃったのー!!」



「そうだよー!!二人は、お似合いなのにさー!!」



あぁ、もう帰りたい…。



ギャーギャー女子たちが騒ぐ中、ちょっと遅れて幹事の中尾くんが喋り始め、やっと部屋が静かになった。



先生も挨拶を済ませ、あとは自由に。



「しゅ、んや。何か食べる、でしょ。わたし、適当に持ってくるねっ」



「あ、朱里!」



みんなの視線が気になり、逃げるように去った。



案の定、わたし抜きの話は、どうして璃香と別れたのかという話題で盛り上がっていた。



部屋が狭いから、聞こえてくる。



でも聞きたくなくて、食べ物を取ることに集中した。



パスタやチャーハン、エビチリにローストビーフ。



野菜も適当に盛り付け、ゆっくりと春夜に近付いた。
< 189 / 267 >

この作品をシェア

pagetop