好きだったよ、ずっと。【完】
「食べる?」



小声で聞けば、「あぁ、サンキュ」そう言って笑顔を見せてくれた。



わたし春夜の彼女で、いいんだよね?



堂々としてて、いいんだよね?



近くにあった椅子に座り、食べようとすれば。



同じ席にキレイに盛り付けをした璃香と、適当に皿に盛った聡が座った。



「あれ?春夜、ミニトマト食べれるようになったの?キャベツの千切りも?」



ミニトマトをパクリと食べ、キャベツの千切りもパクパク食べてる春夜に声を掛けたのは、もちろん元カノの璃香で。



え、春夜キライだったの…?



だって、とんかつ作った時キャベツもトマトも食べてたから、食べれると思って持ってきたのに…。



わたし、春夜のことなにも知らない…。



性格とか好きなものは知ってるのに、そういう細かいことは知らない…。



知ってる風に思ってただけ…。



「キライなら言ってくれれば、良かったのに」



わたしはグイッと野菜を盛った皿を、自分のほうに寄せた。



「あ、いや、俺…」



「わたしが、怒るとでも思ったの?」



キライならキライって、言ってほしかった。



あんなに美味しく食べてくれたら、誰だって勘違いするよ…。



「ケーキ、取ってくる」



こんな時は、甘いものが一番だ。



春夜は何か言おうとしていたけど、聞かずに席を立った。
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