好きだったよ、ずっと。【完】
「今、どんな気分でしょう?」
カウンター越しに男性が、笑顔でわたしに尋ねてくる。
「どんな、気分……」
「例えば、疲れてるとか、イヤなことがあったとか、お客様の今思ってることです」
今、思ってること…。
そんなの、決まってる…。
「……、何もかも忘れたい」
ポツリと、呟いた。
「朱里…」
聡が、わたしの方を見ていたのは知ってる。
知ってたけど、目を合わせることはできなくて。
「やっぱり…、春夜が、好きなのっ。大好きなのっ…」
そう言ったと同時に、溢れ出した涙を両手で覆った。
「はい、朱里ちゃん」
「え?」
隣から声がして、見たら花音さんがハンカチを差し出してくれていた。
カウンター越しに男性が、笑顔でわたしに尋ねてくる。
「どんな、気分……」
「例えば、疲れてるとか、イヤなことがあったとか、お客様の今思ってることです」
今、思ってること…。
そんなの、決まってる…。
「……、何もかも忘れたい」
ポツリと、呟いた。
「朱里…」
聡が、わたしの方を見ていたのは知ってる。
知ってたけど、目を合わせることはできなくて。
「やっぱり…、春夜が、好きなのっ。大好きなのっ…」
そう言ったと同時に、溢れ出した涙を両手で覆った。
「はい、朱里ちゃん」
「え?」
隣から声がして、見たら花音さんがハンカチを差し出してくれていた。