好きだったよ、ずっと。【完】
「ありがとうございます…」



その優しい行為に、受け取ることにした。



「裕也、今日はもういいかな?わたし、心配…」



「うん、いいよ」



花音さんからハンカチを受け取るとカウンター内で、話し声が聞こえ裕也さんの奥さんが外に出て行った。



「え、あの…?」



不思議に思い、花音さんを見ると。



「あー、気にしないで。店閉めに行っただけだから」



花音さんは、当たり前のように言った。



「え?じゃぁ、もう帰らないと…」



席を立とうとするわたしを、花音さんが止めた。



「いいの。朱里ちゃんの為に閉めたの。何か、悩んでるんでしょ?」



「えっ、わたしの為…?そ、そんなのダメですよ!!」



「いいんだってー。裕也くんだって昔、なつこの為に店閉めたことあったもんねぇ?」



ニヤリと笑って、花音さんが裕也さんを見た。



「あっ、あれは!花音さんが、行けって言うから…」



「なによ。わたしのおかげで、付き合えたようなもんじゃないのよ」



「……うっ」



花音さんの一言にダメージを受けたのか、裕也さんは項垂れていた。



「あ、また花音!裕也のこと苛めてるでしょ」



笑いながら戻ってきたのは、裕也さんの奥さん。
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