好きだったよ、ずっと。【完】
「悪い、朱里。悪ノリしすぎたか?」



座り込んだわたしに春夜が、しゃがんで頭に手をポンと置いた。



「もっ、触んないで!!」



わたしは、怒ってるんだから!!



「朱里ちゃん、いいもの見せてあげるから、ちょっと顔上げてくれる?」



花音さんに言われると、上げないわけにはいけないと、ゆっくりと顔を上げた。



「裕也くん、チェリーくれる?」



「え?あ、はい。どうぞ」



花音さんは裕也さんからチェリーを受け取ると、自分の口に放り込んだ。



なんだ、花音さんが食べたかっただけじゃない。



これが、見せたかったモノ?



言っちゃ悪いけど、別に見たくないし…。



だけど、次の瞬間花音さんは意外な行動に出た。



「え、は?ちょっ…」



花音さんは、立ち上がったかと思うと聡に近付き強引に唇を奪った。



その時間、数秒だったと思う。
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