好きだったよ、ずっと。【完】
「はぁ…、分かったよ。なにしてもお前の機嫌が取れないなら…」



そう言って春夜はベッドから降りた。



え…、春夜どこ行くの?



わたしが許さないから、キライになったの…?



どうしよう、このままここでお別れになったら…。



どうしようもない不安が押し寄せる。



声を掛けたくても、声が出なくなり春夜はあっという間に部屋から出て行った。



「……っ」



バカだ、素直になってキスでもハグでもされて許してれば良かった…。



春夜は、謝ってくれたのに。



何度も、わたしのご機嫌を取ろうとしてくれてたのに。



自分のしたことに、鼻の奥がツンとして涙を堪えた。



すると春夜が出て行ったドアが開き、わたしの前に座った。



「お待たせ。…って、お前なに泣いてんの!?」



「春夜ぁ…」



「おい、どうした?そんなに痛かったか?ごめんな、今日はもうしないから許せ、な?」



こんな時でも、わたしの体を心配してくれるんだ…。



「ち、がうの…。しゅ、んやが、出て行ったから、嫌われたかと、思ってっ」



「なんで、そうなるんだよ。嫌うわけないだろ?」



春夜は、わたしに近付いてギュッと抱きしめてくれた。
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