好きだったよ、ずっと。【完】
「なに、言ってんの朱里。こんなの見て何を聞けっていうのよ!」



「だから、とりあえずだってば。春夜、隣の人は誰?」



こういう時、他人は入るもんじゃないのかもしれないけど、わたしたちは親友だから良いと思っていた。



毎日ずっと一緒にいた3人だったから。



「今日、会社の飲み会があったんだ。璃香にも言っただろ?それで、この子は同期の木本さん。彼女、先輩たちにひどく飲まされちゃって歩けなくなるくらい酔い潰れてね。それで方向が一緒だった俺が送ることになったんだよ」



わたしには分かる。



春夜は、嘘を付いていない。



真っ直ぐに、璃香を見て話してるし。



隣の木本さんを見れば、今にも泣きだしそうに二人の様子を見ていて。



これは、浮気じゃないって分かった。



「良かったね、璃香」



そう、わたしが微笑めば。



「はぁ?何が良かったね、よ」



璃香はまだ怒っていた。
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