好きだったよ、ずっと。【完】
「なに、怒ってんだよ。すげぇ、鳴いてたくせに」



「う、うっさい!!」



結局あのまま春夜の行為は止まらなくて、体を重ねてしまった。



春夜に背中を向け、タオルケットを頭からかぶった。



「朱里、機嫌直せよ。我慢できなくて、ごめんな?」



そう言われても、何も言わずに無視を決めこむ。



すると春夜は、はぁ…、と溜め息を一つ吐き。



「分かった、分かったから。じゃぁもう、朝から襲わない。ずっと、一生、死ぬまで。これでいいか?」



……ぬ。



それはそれで、イヤだ。



だとしたら、それはただのわたしの我が儘なのかな。



春夜はただ抱いたわけじゃなくて、わたしを抱きたいから、好きだから抱いたんだよね…?



それを怒るなんて、ダメだよね…。



自分勝手すぎる、この考えに更にタオルケットの中に潜り込んだ。



「朱里?」



春夜の声に、ゆっくりと向きを変え、そのまま顔は出さずに春夜の胸に顔をグリグリしながら埋めた。
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